第173章

車が玄関先で停まると、大島莉理は降り、田中辰哉に送らせなかった。

「じゃあ、私は先に戻ります。田中社長も早めに休んでください。今日は皆さん、本当にお疲れさまでした」

「君こそ、お疲れ」

田中辰哉は車内に座ったまま、月明かりを背にした彼女を見つめた。軽く腰を折って頭を下げる仕草。瞳の光が星の川に溶け込むみたいで、息をのむほど綺麗だった。

「……今回の件、ちょっと申し訳なくて」

大島莉理はずっと飲み込んでいた言葉を、ようやく吐き出した。言えば湿っぽいと思われる気がして、言いたくなかった。けれど、胸の奥の罪悪感には勝てない。

「ミスしたのは現場の社員ですけど、上の立場として私にも責任が...

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